神奈川県訪問看護ステーション協議会 川崎地区 鈴木さん
「看護って、こんなにも“その人らしさ”に向き合える仕事なんだ――」
病院ではなく、在宅という生活の場に飛び込んでいく訪問看護。
神奈川県訪問看護ステーション協議会 川崎地区の鈴木さんは、ご利用者の家で過ごす最期の時間に寄り添い、ご家族と共に悩み、支えながら“看護師としての人間力”を日々育んでいます。
制度やマニュアルに頼れないからこそ、“一人の看護師”としてどう判断するか。
訪問看護の現場には、現代の医療の中で失われつつある“本質的な看護”が残っています。
正解がない現場で試される、“人間としての看護力”
「訪問看護は、マニュアルでは通用しない現場です」
鈴木さんはそう語ります。
在宅では、ご利用者の生活環境・身体状況・家族の思い、すべてが一人ひとり違います。
その人の暮らしの中に看護師が“お邪魔する”形になるため、病院とは違う配慮と判断力が求められます。
「ご利用者さんに“今日は顔が見れてよかった”と言ってもらえることもあるんです。
技術だけでなく、“人として信頼してもらえるか”がすごく大きいんですよね」
関係性を築くには時間がかかります。だからこそ、その信頼が芽生えたときの喜びは大きいのです。
家族も含めた“支え合いの輪”をつくる
訪問看護では、ご利用者だけでなくご家族との関わりも大切な役割の一つ。
ときには家族の不安を受け止めたり、介護の負担を共有したりしながら、“家で生きること”を一緒に支えます。
「看護師として何ができるか、だけでなく、“このご家族にとっての最善ってなんだろう”と考え続けることが多いです」
たとえば、入浴や食事、移動、排泄のこと。
一つひとつの困りごとに寄り添いながら、医療と生活をつなぐサポートを続けます。
その過程で生まれるのが、ご家族との深い信頼関係と“支え合いの輪”。
病院では得られない、一体感があります。
看取りも、“その人らしい人生の締めくくり”を支える看護
訪問看護の中でも、特に印象深いのが「終末期の看取り」です。
病院ではなく、“住み慣れた我が家で最期を迎えたい”という希望に寄り添うのは、決して簡単なことではありません。
「ご家族も不安でいっぱい。でも、最後に“家でよかった”と感じてもらえるように、どう支えるかを一緒に考えます」
命の終わりに立ち会うことは、看護師としても一人の人間としても、大きな学びと感動を与えてくれます。
涙の中にも笑顔があるような、そんな看取りの場面が多いのも訪問看護の特徴です。
まとめ
訪問看護は、「正解のない現場」で、その人の暮らしや人生そのものに向き合う、かけがえのない仕事です。
病院では味わえないやりがいと、人としての成長。
「人間力」を磨きながら、自分なりの看護を深めていきたい。
そんな方にこそ、ぜひ一度、訪問看護というフィールドを知ってほしいと思います。
